こけろうの節約&長期投資ブログ

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20代独身一人暮らし。インデックス投資をやっていますが、基本ほったらかしなので趣味や考えたことの投稿がメインになっています。

NHK「天皇の運命」を観て

4月末にNHKで再放送されていた「天皇の運命」を観ました。

今の上皇様の皇太子時代から退位されるまでのドキュメント番組です。

 

異例の生前退位と新時代の幕開けによって、この連休中は多くの国民が皇室に関心を持ったのではないでしょうか。

恥ずかしながら私も番組を見るまで皇室にあまり関心をもっていたとは言えません。もちろん、大災害の発生によって現場を視察されたり、年中行事で公務をされていたのはテレビを通じて何となく知っていました。

しかし、平成天皇がどのように生きてきて、天皇としての役目を果たしてきたのかがこの番組を通じて少し分かった気がします。

 

以下は、番組を視聴した感想です。

 

 

◆前例にとらわれない思考の柔軟さ

平成天皇のすごみを感じたところの一つとして、新しいことを取り入れられる柔軟性があげられると思います。

敗戦後、日本国憲法によって国民統合の象徴として定められた天皇。それまでは神として崇められていたのが天皇でしたから、象徴天皇制においては平成が1代目だったわけです。

今までのやり方通りではいけないとお考えになった平成天皇は、些細ともいえることから国民により近い存在になろうと努められていたそうです。

 

例えば、天皇陛下がお乗りになる車の車高を約20cm下げることで、沿道の国民と目線を同じにするであるとか、被災地などの現場に訪問するした時には膝をついてお話をするようにしたことなど。

実際は、もっと多くのことが昭和天皇の時代から変わっているでしょう。それらは番組を観ていただくのが一番だと思います。

 

こうした話の中で、私がすごいなあと感じたのは、平成天皇が常に象徴天皇像を模索し考え続けていたということです。

そうでなければ、時代の変化に合わせた数々の行動は生まれなかったのではないでしょうか。

 

天皇という特殊な地位にあれば、自身の意見を側近に通すことができるはずです。なので、「前例がこうだったから」と一言言ってしまえば何も改変することなく公務をこなすこともできたことでしょう。

また、宮内庁も役所です。公務員は良くも悪くも前例踏襲主義です。そのため、改変するという機運が高まる土壌であったとは言えなかったのではないでしょうか。

 

ところが平成天皇は、自身が国民により身近な存在となれるようたくさんのことをお考えになっていた。身近な存在とは言っても、国民統合の象徴としての威厳を保ちながら。

このように天皇陛下について書いている間も、自然と敬語が出てくるところに皇室の威厳を感じます。それはたぶん私だけではないはず。そして私は敬語が得意ではない汗

 

これもあくまで私の感覚ですが、威厳があるとはいえ、もし陛下が歩み寄ってくださったら畏れおののくというよりは、相当うれしい気がする。

よく天皇陛下とふれあっている人が手を合わせている映像を見るけど、たぶん私も自然と合わせると思う。(笑)なんかありがたい感じがするもんね。ご利益とかそういうのではなくて、ただ純粋にお話できてうれしいというか。

 

話がずれてしまったけど、自分が仕事をするときでもより良い方法やお客様のためになることを考え続けなければならないなということを改めて感じました。

前例踏襲のすべてが悪いとは思いません。長い時間をかけてパターン化されたやり方は、定着するだけの何かしらの合理性があるはずだからです。ただ、仕事を取り巻く環境は変化するものなのでもっと効率的なやり方がないかを点検する意識を持つ必要があると。

 

早速連休明けの業務からこのことを意識して取り組んでいきたいと思います。

 

◆行動で示す

もうひとつ私が強く印象に残ったのが、平成天皇が行動する人であったということです。

 

災害が発生すれば危険を顧みずすぐにでも被災地訪問を希望されたといいます。それも受け入れ側の被災地の負担を最小限にとどめるべく、付き人を少なくして1台のバスで移動することも厭わなかった。

 

たぶん天皇陛下御自身もすごく考えられていたはずでしょうが、訪問が被災者の救済に役立つのかという葛藤があったのではないでしょうか。現場で急用なのは物資の方です。いくら天皇陛下が訪問されたからといって、事態が良くなるとは言えません。

 

そんな思いを抱きつつ各地を訪問することは、大変だったと思います。

実際には、被災者の方々は天皇陛下の訪問によって勇気づけられたのではないでしょうか。いずれ来る救援を期待している間の心の支えになったのではないかと思います。

 

物質的な支援も必要でしょうが、精神的な支えや励みも大いに必要でしょう。

生きていく気力がない状態になってしまえば、どうにもなりません。

天皇陛下とお話をした方の中には、「もう少しがんばってみるか!」という勇気が湧いてきた方もいらっしゃるんじゃないかなあと思います。多分、私ならそう思いそうな気がする。

 

ほかにも、第二次世界大戦の犠牲者を追悼するために沖縄や外国への慰霊の旅をつづけられました。

それもご高齢になり退位直前まで続けられた。日程は相当ハードなものでした。

 

これらの精力的なご活躍は、すべて「象徴」としての天皇像を、追求していたからだと思います。

象徴って形式的な意味をあらわす言葉だと思っていました。乱暴に言ってしまえば、実質がない。直接権力を行使することがないから影響力もない。ただそこに存在しているだけで意味があり、それ以外には逆に意味を持ってはいけないもの。それが象徴の意義だと。

 

でも、平成天皇は政治的な影響力は全くなかったけど、国民の精神的な柱のような存在としてはっきりと力を持っておられた。ただ、祭り上げられていた国家元首ではない。多くの国民とふれあうことで勇気や希望を与えられた。

 

まさに国民統合の象徴を「体現」された方だったと番組で平成を振り返る中で強く感じました。

 

異例の生前退位を決意したことも頷けます。平成天皇にとって全身全霊で公務に臨めなくなるということは、象徴としての務めを十分に果たせなくなるということ。それでは天皇である意味がないと考えられました。

側近たちは、公務の縮減や代理で公務を行うことを提案しましたが、平成天皇はそれらを聞き入れなかったといいます。それも、これまで精力的に行動されてきたからだと思います。平成天皇にとって、「象徴」とは「行動で示すこと」だったのかなと思いました。

 

 

頭では分かっているけど実際に行動に移すことって大変だなと感じてる今日この頃です。本で読んで「これはいい!」と思ったことも、そのうちいくつが行動につながっていることか。。

天皇陛下のお考えに比べれば私の引き合いに出す事例が卑近すぎて恐縮するしかないですが、あの番組から一つでも二つでも学べたことがあればよかったとしようじゃないか。

 

口先だけでなく行動する人には自然と人がついてくるものなんだなと感じた出来事でした。しかもそれが自分が所属している会社とかのコミュニティレベルの話ではなく、国家レベルでそれを体現している人の事例を知れたのは大変幸運なことでした。