こけろうの節約&長期投資ブログ

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20代独身一人暮らし。インデックス投資をやっていますが、基本ほったらかしなので趣味や考えたことの投稿がメインになっています。

うまく付き合っていきたい食品添加物

 

少し前に「食品の裏側 みんな大好きな食品添加物」という本を読んだ。著者の安部司さんは、食品添加物の専門商社に勤めていた方で、現在は各地で添加物に関する講演などを行っている。冒頭の「白い粉」だけでとんこつスープをつくる話から衝撃的だった。本物のとんこつスープを一滴も使わずとも、講演に参加した人たちが「おいしい」と感じる味が「白い粉」だけでできるという。実際に白い粉スープの実演を見せられたら、カップラーメンを買おうとする気持ちはかなり萎えてしまうのではないかと思う。

本を読み進めていくと、他にも様々な食品の「裏側」を知ることができる。ハム・ソーセージ・ジュースなど、小さい頃から慣れ親しみ、好んで口にしていた食品の数々がこんなに薬品漬けだったとは。。と、衝撃を受けっぱなしだった。添加物の過剰摂取による健康への悪影響や味覚を麻痺させること、特に子どもに与える影響の大きさを考えると、普段の食事で何を選び・避けるべきかを判断するのはとても重要なことだ。

 

こういうと、食品添加物は悪であり摂ってはいけないもの、という考え方になりがちだが、私はそうは思わない。私は、完全に添加物を排除することは無理なのでなるべく摂る量を減らしていこう、という程度で気を付けていくことにした。

というのも、この本にも書かれているとおり、添加物のおかげで我々の食生活が豊かになっているのは事実だからだ。例えば、仕事で帰りが遅くなり自炊するだけの気力がなかったとしても、スーパーやコンビニに行けば好きなものが買えて、夕飯としてすぐに食べられる。今は飽食の時代ともいわれるが、これほど食べ物に困らなくなったのは人類の歴史を振り返っても初めてのことであり、そうなったのは間違いなく添加物のおかげだ。

食品添加物はその危険性を心配されることが確かに多いが、著者はそうした点よりも「情報公開」がされていないことを問題視する。消費者は食品製造の「舞台裏」で何が行われているかを知ることも想像することもできない。実際に食品を口にする消費者がどの商品を選ぶかを判断する際、十分な情報が提供されていないのが現状だ。一方で、消費者の側が価格の安さを追い求めるあまり、企業側が添加物を使わざるを得ない状況に陥っているという指摘もしている。

こうした添加物をめぐるバランスのとれた考察も、この本を好きになった理由の一つだ。

 

食品添加物について知識のない素人であっても、分かりやすい文章で書かれているためさくさく読み進められる。巻末には賢く加工食品を選ぶための添加物分類表も掲載されており、実生活ですぐ役立てられる知識がたくさん載っているのも嬉しい。2005年初版の本であるが、20年近く経っている今でも内容は色あせない。むしろ、時が経つにつれて使われる添加物の種類がますます増える一方、無添加のものが手に入れにくくなってしまうかもしれない将来において、この本はより価値のあるものとして見直されるのではないかと思う。