こけろうの節約&長期投資ブログ

こけろうの節約&長期投資ブログ

20代独身一人暮らし。インデックス投資をやっていますが、基本ほったらかしなので趣味や考えたことの投稿がメインになっています。

神さまに守られている思い出

何もしなかった土日にちょっと罪悪感を抱きながら - こけろうの節約&長期投資ブログ

古本屋でAIに関する本を読み、将来が少し心細くなりながら散歩を再開。そのつづき。

 

家を出たときはまだ明るかったけど、今はもうかなり暗くなって着々と夜の気配になってきている。ひんやりと冷たい空気がマスク越しにも伝わってくる。

 

周りに誰もいないことを確認してマスクを外した。途端にすうっと澄んだ夜の感じや、台所から漂う夕飯支度の匂いがはっきり感じられた。まだ真っ暗まではいかない群青色の空。夕方と夜の間くらいのこの時間が小さい頃から好きだった。

夕方以上、夜未満の時間をさらに楽しむため、イヤホンも耳から外した。コツコツと上品に響く革靴の音が歩く度に聴こえて心地いい。

 

気がつくと急な下り坂のところに来ていた。ここからはかなり遠くまで見渡すことができた。家々の窓から漏れ出た橙色の暖かな灯りがいくつも見える。どこかの家から母親の子どもを呼ぶ声が聞こえた。

 

近所にこんな景色があったとは知らなかったなーと思っていたが、それもそのはず、私は小学生以降この辺りに来ていない。確か今見える住宅街の辺りは原っぱと雑木林であった。

20年くらい時間が経っていればそりゃ景色も変わるよな、と思いながら新興住宅地の辺りを歩いてみることにした。

 

実際に住宅街に来てみると、そこは私の記憶とは大きく様変わりしていた。

お菓子の家のような茶色が基調のおしゃれな家がたくさん並んでいる。どの家の庭もレンガで縁取られていて花が咲いていたり、車庫にはファミリーカーが止めてある。多分子どものいる家庭が多いのだろう。道路を見ると道幅が広げられており、かつてなかった歩道は石畳風になっていた。

 

こうして歩いてみると、なんだかディズニーランドのセットの中を歩いているような気分になってきて、なんだかおかしかった。いかにも型通りな、ドラマや絵に描いたような一画だったからだろうか。「ステレオタイプ」という言葉が浮かんだ。

私は人と違う風にするのが好きなタイプというわけではないけれど、こんなに判を押したように同じ家が並ぶところには住みたくないと思った。

 

すっかり様子が変わってしまった一帯の景色に多少寂しさを感じつつ、さらに歩みを進めた。この先には確か小さな池があったはず。

私が小学生の頃、両親と自転車で遊びに出かけた時、初めてアオサギを見た場所だ。

鳥といえば、スズメやカラスくらいしか近くで見たことがなかっただけに、鮮やかな水色の羽根とすっくと佇む大きなアオサギを見て驚いたのを今でも覚えている。

 

池は進行方向の左側にあったはずだが、なかなか出てこない。道の左側にはアパートや新築の戸建てが立ち並ぶ。あの池も潰されてしまったんだな、と残念に思っていると家と家の間に小さな池が見えてきた。

こんなに小さな池だったのか、とやや拍子抜けしながら柵からのぞいてみた。金網がすっかり雑草で覆われていて池の中がよく見えない。身を乗り出して見てみたが、池には何もいないようだ。

 

この池は結局何なんだろうと思っていると、草に覆われた金網に説明が書かれていた。この池は近くの神社の「御神池」だった。昔は神事を行う際に神主が身体を浄めるためにこの池を使っていたという。もちろん、今は使われていない。浄めの水は、心無いゴミの投棄ですっかり汚されてしまっていた。

 

でもそんな由緒ある池だったから埋め立てられずに済んだのだろう。私のアオサギの思い出も神さまによって守られた。願わくばこれからも大事に守っていただきたい。

 

だいぶ辺りが暗くなりすっかり夜と呼んでも良い雰囲気になっていた。散歩の時間は1時間ほどだったと思うけど、いろんなことを思ったり感じたりすることができた。今日は先週とは違いよく眠れそうだ。明日から1週間が始まる。自分のできることを精一杯がんばろう。